サニャックの実験で出来た干渉縞のズレは地球の公転速度が光の速度に影響を与えた結果と示しました。
また予想される干渉縞のズレの推定の方法と推定結果を示しました。
「ローレンツ収縮仮説は間違いの後編」になります。
ローレンツ=フィッツジェラルド収縮の仮説
1)エーテルがあっても光速は変わらない
2)それはエーテル風向きと逆のほうに相対的な距離が縮むと言っています。
光の方向がエーテル風に対して
1)追い風であれば距離が伸びる。
2)向かい風であれば距離が縮む
マイケルソン・モーリーの実験で分かったこと
Fig.1は マイケルソン・モーリーの実験です。エーテルの存在は証明できませんでした。
測定された干渉縞のズレは確かにありましたが、
干渉縞のズレが小さいので実験の誤差の扱いにされました。
ig.1 マイケルソン・モーリーの実験の考え方 |
マイケルソン・モーリーの実験の結果の再検討
マイケルソン・モーリーの実験でエーテルの存在は確認できませんでした。
そして現在では真空中のエーテルの存在は否定されています。
それでマイケルソン・モーリーの実験の結果を光源の速度が光速に加算されると仮定して結果の再検討を進めます
光源の速度となるのは地球の公転速度と自転速度を考えます。
公転速度の影響力
光源と計測系は地球に固定された実験と見なします。
それにより公転速度の方向とその影響力は等しく光源と計測系に与えられています。
それと地球の公転速度は季節単位の変動です。 季節が移り変わる時間スケールから比べると実験は短時間に行われます。
それで公転速度は実験には関与しないとします。
自転速度の影響度の割合
自転速度は460m/secなので光速に影響する
一秒あたりの影響度は
460 / 3.0*10^8 = 1.5 *10^-6 の割合だけ早くなったり遅くなったりします。
光路が11mの時の光子の飛行時間
マイケルソン・モーリーの実験の光路が11mです。
光路11mとすると光速の3.0*10^8m /sec の光子の飛行時間は
11/3.0*10**8 = 3.6 * 10^-8 秒となります。
地球の自転が光子の飛行時間に与える影響力を時間で示せば
3.6 * 10^-8 * 1.5 *10^-6
= 5.4 * 10^-14 秒
位相差(時間の遅れ)は 5.4 *10^-14 秒です。
言ってみれば誤差範囲の変動なので干渉縞のズレはほどんど観測できません。
サニャックの実験で分かった事
Fig.2はサニャックの実験です。
光源と計測系を円盤に乗せて回転されると明らかな干渉縞のズレが生まれた。
光源と計測系を円盤に乗せて回転されると明らかな干渉縞のズレが生まれた。
この干渉縞のズレはローレンツ=フィッツジェラルド収縮の仮説によりで距離が縮んだ結果と物理界では常識になっています。
しかしそれは違うとこの記事で根拠を述べて示しています。
地球の公転速度の直交する影響
慣性系の影響を受けて、光の速度の秒速30万㎞に地球の公転スピードが常に加算されています。 自転速度も加算されています。しかしそれは公転の65分の1の大きさなので公転速度が支配的です。光源と計測系が円盤に乗って回転しています。 それで光の方向と公転の方向が円盤の回転によって変わります。 その結果に変化する光の速度 C’ は
変化して光の速度 C’= C(秒速30万km) + V(公転速度) * Cosθ
Cosθのθは円盤の回転で変化する角度です。
円盤が回転することで光の速度 C’は 連続的に変化しています。
光の横ドップラー効果が生まれていることになります。
特に、円盤が回転することで、光の方向と公転方向が直交するタイミングができます。
直交すると光の速度の加算分である地球の公転の速度成分はゼロになります。
その部分では急速な速度の変化が現れます。
下図Fig.3を見るとAとBが直交ポイントのイメージになります。
それでAの直交するポイントからは赤色偏向の光子の飛行速度が遅くなる干渉縞のズレが生まれると推測できます。
そしてBの直交するポイントからは青色偏向のように光子の飛行速度が速くなるなる干渉縞のズレが生まれるとと推測できます。
Fig. 3 光の速度に地球の公転の速度が加算されているイメージ図 |
公転速度の直交する影響のまとめる
円盤が回転することで光の横ドップラー効果が生まれています。
観測される光の速度は連続的に変化します。
それが干渉縞のズレを生んでいます。
特に光の方向と公転方向が直交するタイミングの前後でドップラー効果による速度の変化が最大になります。 その時に最大の干渉縞のズレが生まれます。
(公転速度の直交の節に説明の追加:
光の横ドップラー効果を用いる 2022/Aug-22)
円盤回転の速度の影響
円盤回転の速度は地球の自転速度よりも公転速度よりもずっと小さいです。
それで円盤回転速度が干渉縞のズレを作りだしたとは言えません。
もう少し詳しく説明すると、マイケルソン・モーリーの実験結果をエーテルの代わりに慣性系の速度、この場合は地球の自転速度が加算された時に、どれだけの時間変動があるか推定しました。 その時間遅れは僅かで、明らかな干渉縞のズレを作りません。
仮にローレンツ=フィッツジェラルド収縮の仮説があったとしても、自転速度の460m/secでも干渉縞のズレができないなら、120年前のサニャックの実験で作りだせる円盤の回転速度では到底干渉縞のズレができるはずがありません。
サニャック実験の結果の干渉縞のズレは「円盤回転速度によって距離が縮み、時間が遅れる」と理由では説明ができません。
ローレンツ=フィッツジェラルド収縮の仮説は円盤の速度の点でも破綻しています。
サニャックの実験の干渉縞のズレの推定
地球の自転速度と公転速度
地球自転速度は460m/sec です。
公転速度は 30000 m/secで、自転速度の65倍速いです。
また公転速度の光速に対する影響度は
30000 / 3.0*10^8 = 1.0*10^-4 の割合だけ直交すると遅くなります。
0.01%の変動です。 0.01%の位相差であれば適切な光路の距離があれば干渉縞のズレとして観測できるはずです。
光路を3mで位相差を計算
円盤上であるので今回は光路を短めの3mで計算してみます。
オリジナルの速度での光子の飛行時間は
3m / 3.0*10^8 = 1.0*10^-8 秒
その光路で一体どれくらいの光子の到着時間遅れが生じるか計算します。
位相のズレの推定になります。
オリジナルの光子の飛行時間がどれだけ変動するか計算します。
1.0*10^-8 秒 *1.0*10^-4 = 1.0 * 10^-12 秒 遅れる
黄色の波長
黄色の波長は自然光の帯域中の中間と考えます。
波長は580nmです。 0.58*10^-12 mになります。
それに対して公転が作りだす時間の遅れは1.0 * 10^-12 秒です。
黄色の波長の一周期に近い光子の飛行時間の遅れになります。
干渉縞のズレがしかりできます。
まとめ
マイケルソン・モーリーの実験
マイケルソン・モーリーの実験で予測値と合う干渉縞のズレで出来なかった事でエーテルの存在は証明できませんでした。また理論的には光源の速度の影響が光速に影響していてそれは地球の自転の速度の影響である。
しかしそれは自転の速度程度のでは、速度が遅い為に明らかな干渉縞のズレには成らなかった。
ローレンツ=フィッツジェラルド収縮
サニャックの実験で干渉縞のズレが生じたのは、ローレンツ=フィッツジェラルド収縮によるものでない。
サニャックの実験で回転する円盤の速度程度では、干渉縞のズレは生じない。
サニャックの実験の干渉縞のズレ
サニャックの実験で干渉縞のズレが生まれたのは地球の公転速度が光の速度に影響を与えたためである。
光の速度(秒速30万㎞)に加算される公転速度は、回転する円盤により連続的に変化します。光の横ドップラ効果が生まれています。
特に公転速度との直交するタイミングでは速度変化が最大となり、干渉縞のズレは赤色偏向と言えるほどの位相差を生み出す。
光速
光速は光源のスピードの影響を受ける。
別の言葉では光速は光源の慣性系の速度の影響を受ける。
次回の記事のテーマ
ミンコフスキー空間について書きたいと考えています。
資料
1)ローレンツ収縮 Lorentz length contraction wikiから
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC%E5%8A%B9%E6%9E%9C
2)ローレンツ変換
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%84%E5%A4%89%E6%8F%9B
3)マイケルソン・モーリーの実験1
https://en.wikipedia.org/wiki/Michelson%E2%80%93Morley_experiment
4)マイケルソン・モーリーの実験2
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%AE%9F%E9%A8%93
5)マイケルソン・モーレーの実験からローレンツ変換へ
山田盛夫 - 物理教育, 1971 - jstage.jst.go.jp
1971 年 19 巻 1 号 p. 8-11
DOI https://doi.org/10.20653/pesj.19.1_8
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pesj/19/1/19_KJ00005893602/_article/-char/ja/
5)サニャック効果
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%8B%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E5%8A%B9%E6%9E%9C
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